NO.5 口八丁Kin
昔から口だけはいいプレーをしていた。
「前向け」「ターン」「替えろ」
自分は全然できないのに、口は冴えていた。いつになったら自分ができるようになるか、と見てきた。中学生になり、キンキン声が声変わりし、ぷっちょだった体がスッと伸びた頃、オスグッドに。プレーも伸びるはずの時に、休まなくてならず・・・。
それでも中2の秋の新チーム始動に合わせて復帰。県新人戦、2部リーグの試合でも、やっとイメージと動きが一致し始めた。腰の痛みを気にしていたが、波に乗るチームにあって「休む」という選択肢はなかった。結果、腰椎分離症は既に悪化していた。約5ヶ月もチームから離脱。中総体を棒に振り、復帰戦のターゲットにした宅島杯も消えた。それだけに入替戦という本気の試合があること自体に感謝している。(みんなが頑張ってくれたおかげです。)
近頃のTRMで、ようやく自分でアクションを起こせるようになってきた。守備での責任感や意地も出てきた。Kinの武器はGoコーチから褒められた「ボールの置き所」。確かに様になっていて蹴る前からいいボールを蹴りそうに見える。高い位置に侵入し、鋭いクロスを送ってアシストすることを1番の目標にしている。しかし真骨頂は、スムーズな「つけるパス」だ。この1本のパスが小さい歯車となり、他の凸凹な歯車が回り出す感じを生んでいる。そんな時は楽しくてたまらずすぐ調子に乗る(~_~;)。
ピッチに入ったら、試合ができる喜びを、足でも口でも出し切ろう。勝ってる時は誰でも乗れる。流れが傾いた時こそ、口八丁Kinの出番だ。おれたちのサッカーを取り戻す声を出そう。1番できないヤツの自信が、チームの自信になると思う。